Pipetty ①

先進の自動化技術で研究・製造の未来を変革。正確さと効率の両立を実現する、
正確さと効率の両立を実現する、信頼の分注ソリューション

本事例の対象業種業態

臨床検査装置メーカーや分析計測機器メーカー、精密機器関連部品の製造メーカー、さらに製剤や試薬研究開発機関など、精密な分注作業を自動化・効率化したいと考える多くのクライアントが当社製品を活用しています。これにより、従来の手作業の限界を超えた高精度な作業環境が実現しています。

背景

ロボット技術の進展により、製造や研究分野では手動作業の自動化への関心が高まっています。特に、精密な液剤分注が必要とされる分野においては、手作業では限界が生じやすく、高度な技術を持つ自動化ソリューションの導入が求められています。アイカムス・ラボの製品に対する問い合わせも、こうした背景から急増しています。精密な分注が求められる実験や製造現場では、作業の効率化と省人化が進む一方で、手作業に依存する部分が課題となっていました。少子高齢化が進行する中、労働力不足が生じる日本市場では特にその需要が高まっています。pipettyは、これらのニーズに応え、手作業でしかできなかった操作をロボットで行うことを可能にする、効率的で正確な分注作業を実現しました。

課題

1負担の多さ

精密な分注作業は集中力を要するため、作業者に負担がかかり、作業のばらつきや疲労が問題となっていました。

2効率性と精度の確保

大量のサンプルを処理する際、手作業による分注では一貫した精度が確保しにくく、プロトコルの再現性も課題でした。

3長時間の作業

多くのサンプルを処理するのに時間がかかり、結果が得られるまでの期間が長く、データ収集に支障が出ることもありました。

4品質のばらつき

手順の確認が難しく、各作業ごとに異なる結果が得られやすいため、品質の一貫性が求められました。

5思考時間の不足

手作業が中心となるため、新しい開発や改良のためのアイデアを考える時間が限られていました。

提案内容

アイカムス・ラボは、pipettyの標準機能に外部制御機能を追加することで、ホストコントローラからのコマンド操作に対応するカスタマイズを提案しました。この外部制御機能により、従来の手動操作が自動化され、ロボットによる精密かつ効率的な分注作業が可能となります。また、pipettyの世界TOPクラスの小型・軽量な特徴を活かし、ロボットアームでの搬送可能な質量に対応。従来の作業に比べ、持ちやすさや軽量性も考慮されており、操作性が向上しました。

通信は主に有線通信に対応し、クライアントの環境に合わせて選択可能です。有線通信では、USB通信、RS232Cに対応し堅牢な通信を確保し、外部コントローラからの精密な操作指示に応えます。このシステムにより、吸引や吐出の速度調整、シングル分注や連続分注、ミキシング操作など、細かな設定が可能になり、ロボットを活用した正確な分注が実現されました。

さらに、pipettyが持つ容量範囲内であれば、連続して液体を吸引することも可能で、作業の効率が飛躍的に向上。異なる液剤を連続吸引することで、従来の手作業では得られなかった精度と安定性が確保できるほか、作業者の負担も大幅に軽減されました。

クライアントの声

大手分析計測機器メーカー

医薬品研究の分野で自動化を進めるため、pipettyの導入を決定。以前は手作業で行っていた分注作業を、pipettyによる外部制御での自動化に移行することで、作業精度と効率が飛躍的に向上しました。作業者の負担も大幅に軽減され、以前に比べてミスも減少。ロボットアームによる操作とpipettyの軽量設計により、作業がスムーズに行えるようになりました。試薬の安定した分注が可能になり、精密な結果を安定して得ることができ、業務全体の品質が向上しました。

精密機器関連部品メーカー

複写機インキの研究用途にpipettyを導入し、ロボットアームと組み合わせた自動分注により効率が大幅に向上。従来の手作業による分注から解放され、作業者の負担が軽減されると同時に、データの信頼性も向上しました。さらに、ロボットの操作性の良さが評価されており、国内メーカーであることや迅速なサポートが得られる点も高く評価されています。

今後の展望と応用可能性

現在提供されているpipettyシリーズは20µl、250µl、1000µlの3機種ですが、クライアントからの要望に応じ、今後は10,000µlのバリエーションの追加が計画されています。これにより、さらなる自動化の可能性が広がり、さまざまな液体量に対応できることで、医薬品開発や製造現場での利便性が高まります。また、装置組み込みを容易にするオートピペットの自社開発も進めており、ライフサイエンスや製造分野での幅広い応用が期待されます。

Pipetty ②

ログ取得で品質と効率を実現。
信頼性と作業効率を向上させる、先進のデータ管理ソリューション

本事例の対象業種業態

高機能材料メーカーであり、品質管理と製造工程のトレーサビリティ強化のため、データログ化が必要でした。製造記録の電子媒体化とログデータのトレースが必須となり、保存要件を満たすことで信頼性の高い品質エビデンスが確保され、工数削減も期待されています。これにより、精密な作業の効率化と管理体制の向上が図られています。

背景

近年、製造業界でデータログや記録機能を備えた検査装置が増加しています。特に医療や製薬分野では、製造記録のデータ完全性(データインテグリティ)が求められるようになりました。この背景には、国際的な品質基準への適合や、過去の不正製造による試験データの改ざん事件がありました。データのトレーサビリティと保管の重要性が高まっているため、製造業では製造記録や検査結果の保存が義務化されつつあります。品質管理とデータ分析のために、電子媒体への記録化やログの標準化も進められ、必要な期間にわたりアクセス可能であることが求められます。医療や製薬業界のみならず、大手製造業も電子化による効率的なデータ管理へ移行しています。

課題

1記録作業の負担

分注作業の際、正確な記録を手作業で行うことが求められ、作業者に負担がかかっていました。

2効率と工数の課題

紙媒体での記録により作業工数が増加。データログ移行により、工数削減が求められていました。

3トレーサビリティの不足

各工程でデータを確実に取得し、一貫した品質管理の実現が必要とされていました。

4電子化とエビデンス要件

プロトコル通りの操作確認を電子ログ化し、エビデンスとしての信頼性向上が必要でした。

提案内容

アイカムス・ラボは、すでに無線モジュールを搭載した「pipettyPro」を提供しており、専用アプリでログをPDF形式で記録する機能を備えています。このソリューションは、クライアントのニーズに応え、トレーサビリティとデータ完全性を確保するために改ざん防止機能が強化されています。通常、pipettyProは1台のピペットとPCが対になり動作しますが、本事例では複数(最大9台)のpipettyの同時接続を実現し、1台のPCで複数のログを取得可能なシステムを提供しました。

新しいカスタマイズにより、複数台のpipettyを一括制御し、それぞれのピペットが異なる工程や同一工程に対応する際も、リアルタイムでログ記録が取得されます。この機能は、品質管理に必要なトレーサビリティの強化と工数削減に寄与しました。また、PDF形式でログを取得することで、クライアントの品質監査要件も満たされ、管理システムに容易に保存されます。さらに、pipettyProの無線機能を応用することで、柔軟な配置と操作性を実現し、より多くの作業環境に対応しています。データ管理の負荷を軽減しつつも、精密で信頼性の高いログ記録を実現しました。

クライアントの声

高機能材料メーカー

1台のPCで複数のpipetty作業を同時にログ取得できるようになったことで、製造記録作成にかかる工数が大幅に削減されました。従来の手作業で行っていた記録作成に比べ、データインテグリティの観点からも信頼性が向上し、データ管理もスムーズに行えるようになりました。特に、複数台のpipettyを同時に使用してもリアルタイムでのログ取得が可能であることから、品質管理体制の効率化に大きく寄与しています。
このシステムにより、作業者の手動による記録ミスが削減され、正確で一貫性のあるデータが得られるため、品質管理担当者や製造監督者からも高い評価を受けています。また、国内メーカーであるアイカムス・ラボの迅速な技術サポートも評価され、安心して導入後の運用が行える点も大きなメリットとされています。

今後の展望と応用可能性

1台のPCで複数のpipetty作業を同時にログ取得できるようになり、今後pipettyPro機能に標準搭載される可能性が高まります。さらに従来pipettyProのもつプロトコル機能を複数台に設定できる仕様への応用が期待されます。