精密な分注作業は集中力を要するため、作業者に負担がかかり、作業のばらつきや疲労が問題となっていました。
大量のサンプルを処理する際、手作業による分注では一貫した精度が確保しにくく、プロトコルの再現性も課題でした。
多くのサンプルを処理するのに時間がかかり、結果が得られるまでの期間が長く、データ収集に支障が出ることもありました。
手順の確認が難しく、各作業ごとに異なる結果が得られやすいため、品質の一貫性が求められました。
手作業が中心となるため、新しい開発や改良のためのアイデアを考える時間が限られていました。
アイカムス・ラボは、pipettyの標準機能に外部制御機能を追加することで、ホストコントローラからのコマンド操作に対応するカスタマイズを提案しました。この外部制御機能により、従来の手動操作が自動化され、ロボットによる精密かつ効率的な分注作業が可能となります。また、pipettyの世界TOPクラスの小型・軽量な特徴を活かし、ロボットアームでの搬送可能な質量に対応。従来の作業に比べ、持ちやすさや軽量性も考慮されており、操作性が向上しました。
通信は主に有線通信に対応し、クライアントの環境に合わせて選択可能です。有線通信では、USB通信、RS232Cに対応し堅牢な通信を確保し、外部コントローラからの精密な操作指示に応えます。このシステムにより、吸引や吐出の速度調整、シングル分注や連続分注、ミキシング操作など、細かな設定が可能になり、ロボットを活用した正確な分注が実現されました。
さらに、pipettyが持つ容量範囲内であれば、連続して液体を吸引することも可能で、作業の効率が飛躍的に向上。異なる液剤を連続吸引することで、従来の手作業では得られなかった精度と安定性が確保できるほか、作業者の負担も大幅に軽減されました。
分注作業の際、正確な記録を手作業で行うことが求められ、作業者に負担がかかっていました。
紙媒体での記録により作業工数が増加。データログ移行により、工数削減が求められていました。
各工程でデータを確実に取得し、一貫した品質管理の実現が必要とされていました。
プロトコル通りの操作確認を電子ログ化し、エビデンスとしての信頼性向上が必要でした。
アイカムス・ラボは、すでに無線モジュールを搭載した「pipettyPro」を提供しており、専用アプリでログをPDF形式で記録する機能を備えています。このソリューションは、クライアントのニーズに応え、トレーサビリティとデータ完全性を確保するために改ざん防止機能が強化されています。通常、pipettyProは1台のピペットとPCが対になり動作しますが、本事例では複数(最大9台)のpipettyの同時接続を実現し、1台のPCで複数のログを取得可能なシステムを提供しました。
新しいカスタマイズにより、複数台のpipettyを一括制御し、それぞれのピペットが異なる工程や同一工程に対応する際も、リアルタイムでログ記録が取得されます。この機能は、品質管理に必要なトレーサビリティの強化と工数削減に寄与しました。また、PDF形式でログを取得することで、クライアントの品質監査要件も満たされ、管理システムに容易に保存されます。さらに、pipettyProの無線機能を応用することで、柔軟な配置と操作性を実現し、より多くの作業環境に対応しています。データ管理の負荷を軽減しつつも、精密で信頼性の高いログ記録を実現しました。
大手分析計測機器メーカー
医薬品研究の分野で自動化を進めるため、pipettyの導入を決定。以前は手作業で行っていた分注作業を、pipettyによる外部制御での自動化に移行することで、作業精度と効率が飛躍的に向上しました。作業者の負担も大幅に軽減され、以前に比べてミスも減少。ロボットアームによる操作とpipettyの軽量設計により、作業がスムーズに行えるようになりました。試薬の安定した分注が可能になり、精密な結果を安定して得ることができ、業務全体の品質が向上しました。